日経平均株価が最高値を更新し、保有株の上昇に思わずガッツポーズという人もいるだろう。ここで紹介したいのが、長年コツコツ自社株を積み立て続け、莫大な資産を築き上げた女性のエピソードだ。伊藤忠商事のCEOが発信し、昨秋SNSでも大きな注目を集めた「ジャパニーズ・ドリーム」の物語とは?(ダイヤモンド・ライフ編集部)ダイヤモンドオンラインに面白い記事が出ていました。オリジナルは,伊藤忠の2025年度統合報告書ですが,伊藤忠に40年以上務めた女性従業員が持株会で積み立てた株式が退職時に8億円にまで膨らんだという夢のようなお話です
伊藤忠:統合レポート2025(オンライン版)CEOメッセージ
「アメリカン・ドリーム」といえば、米国で成功して巨万の富を手にする物語を誰もが思い浮かべるでしょう。皆さんも一度は憧れたことがあるのではないでしょうか。では、「ジャパニーズ・ドリーム」と聞いて、皆さんはどのような姿を思い浮かべるでしょうか。日本でも起業に成功し、大きな富を手にした人の話を耳にすることはありますが、それはごく限られた人たちの話と感じる方が大多数かもしれません。とりわけ、一般企業の会社員にとっては、まるで夢物語に聞こえるのではないでしょうか。少し前のことです。ある女性社員が定年退職の挨拶に来てくれました。彼女は短期大学を卒業後、1970年代半ばに伊藤忠商事に入社し、40年以上に亘り、繊維カンパニーの事務業務を務め上げてきました。その間、長年コツコツと当社株式を積み立てていたそうです。当社の株価は1990年代後半には200円を割る時期もありました。しかし、長年、当社を信じて積み立ててきたとのこと。そして、話を聞いて驚いたのは退職時の保有株式数。なんと10万株を超えるまでに至ったとのことで、時価にして約8億円、配当収入だけでも年間2,000万円に達します。「一生、豊かに生活していくことができます。本当に有難うございました」と語った彼女の顔が、今も心に残っています。その時、私はふと気づきました。これも「ジャパニーズ・ドリーム」と呼ぶにふさわしい物語なのではないかととてもいい話なのですが,岡藤CEOの主旨は,それに続く「私は常日頃から、経営者の通信簿とは、いかに企業価値を上げることができたかに尽きると考えています。企業価値の向上、すなわち時価総額、株価を上げることが経営者としての責務であるという思いは変わりません」というところにあることは注意すべきでしょう。企業価値を高めることは,機関投資家などの株主だけではく従業員にとっても重要なことだということです。こんなことを聞くと耳が痛くなる上場会社経営者も少なくないのではないかと
上のチャートを見ると,この従業員の方が幸運だったのもたしかです。「当社の株価は1990年代後半には200円を割る時期もありました」と岡藤CEOもいうように,2010年あたりまでは,伊藤忠株価は日経平均とたいしてパフォーマンスは変わりません。その後,2010年にバフェットが日本の創業商社株取得を表明して以後,一斉に値上がりしたのですよね(2025年にも総合商社の追加取得を表明しました)。1970年の伊藤忠株価は(分割等調整後ですが)15円前後だったのですね
また,何度も申し上げているように,従業員のインセンティブを上げるという会社の立場からはともかく,従業員の資産運用という見地からみると,自社株保有はリスクが大きいです。この女性従業員の方は「長期・積立」まではよくても,「分散」という点ではやや問題があったといえそうです(伊藤忠株を一部売却して商社以外の株式や公社債などで運用していた方がよかったかも)。
人的資本の更なる強化に向けた取組について
伊藤忠にはすでに株式報酬制度以外にも金銭の業績連動型報酬制度もあるほか,なにより給与水準がとても高いので,あまり問題にはならないのでしょうね
