先月初めに公表された久光製薬のMBOは,TOB価格6082円で今月19日までの期間実施されますが,株価はずっとTOB価格を上回っています。
上記記事によると,マーケットチェックを行っておらず,安値TOBだという批判があり,一部アクティビストが蠢いているとか。たしかに,久光MBOもTOB期間を法定20営業日より10営業日だけ長く設定して「間接的マーケットチェック終了!」( ̄^ ̄)ゞ という,なんちゃってマーケットチェックではあります。能動的に買い手を募る積極的マーケットチェックは公正性担保措置の1つではあっても必須というわけではないのですが,いまのまま高値が維持されれば不成立となるので,TOB期間は延長されるでしょう
より高値で対抗TOBが現れるかどうかがポイントになりますが,株主構成を確認すると,創業家の保有分は総数でも10%に満たない程度で,かなり分散しており,金融機関の保有分がそれなりに多いくらいでしょうか。
MBO側は金融機関株主の一部(19.15%)とは応募契約を締結していますが,公開買付関係書類によると,対抗TOBが出てきた場合は別途協議が必要となります。
応募契約締結日から公開買付期間の末日までの間に、公開買付者以外の第三者が、本公開買付価格を10%以上上回る公開買付価格で、当社株式の全部を対象とした公開買付け(以下、本④において「対抗買付け」といいます。)を開始した場合又はこれを開始することが公表された場合、本応募金融機関及び公開買付者は、対応について相互に誠実に協議すること「10%以上上回る」TOB価格の対抗TOBということは,6690円ですか。
ダイヤモンドオンライン:久光製薬が非上場化へ、「サロンパス」は国内不振でも製薬会社トップから「うらやましい」の声が漏れるワケ
こちらの記事によると久光製薬のMBOについては,アメリカへの成長投資に資金を使うという目的があるなど,理解を示す関係者も多いとか。加えて,医薬品業界は国や医療機関から一定の備蓄を求められるため,「医薬品メーカーと株式市場の“食い合わせ”は年を追うごとに悪くなってきている」との声もあるとか。
後者については,議決権行使助言会社の勉強をしたおりに,石油元売り会社が法律上求められる石油備蓄の評価損益について,企業努力と無関係であるのに取締役再任のROE基準で考慮しない不当性を訴えたところ助言会社の評価は変わらなかったものの,機関投資家からは一定の理解を得たというエピソードを思い出しました。
市場は投資先をまずは,PBRやROEなど一定の投資指標に基づき形式的な評価をします。これに対して,上場会社の側はどの程度,業界固有・会社固有の事情を説得的に発信できているか,市場の理解を得る努力をしているのか,というIRの問題が別途あるのではないかと思います。上場会社である以上は必要なことですよね
一般論ではありますが,日ごろの情報発信・建設的対話の努力を怠りながら,突然,「市場は短期的利益しか求めない😠」と逆ギレしてMBOを実施する,というのはどーなんだろうな,という気はします。実際にそういう企業は少なくないような…。企業価値・企業努力に比して株価が安く放置されるのは,決して市場の理解不足だけではなく,会社側の理解してもらう努力が足りない部分も少なからずあるのではないかな
