カーケア製品のソフト99コーポレーションは2日、MBO(経営陣が参加する買収)を目的として田中秀明社長が設立した堯アセットマネジメントによるTOB(株式公開買い付け)について、10月17日まで再延長すると発表した。買い付け期間の延長は2回目で、従来は10月2日までだった。1株2465円の買い付け価格は変更しないソフト99はTOBの期限を延期しました。さすがに,短期間の間にいろいろなことが起きたので,それらを整理したうえで対応するにはもう少し時間が必要だということなのでしょう。一次資料で確認しましょう
(変更)「株式会社ソフト99コーポレーション(証券コード:4464)の株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」の変更に関するお知らせ
今般、対象者の株主の皆様による応募状況及び今後の応募の見通しを考慮して、慎重に検討した結果、対象者の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について更なる判断機会を提供し、本公開買付けの成立可能性を高めるため、本公開買付けにおける買付け等の期間を 2025 年 10 月 17 日まで延長し、合計 48 営業日とすることを決定いたしました17日まで延期するが,その理由は「対象者の株主の皆様による応募状況及び今後の応募の見通しを考慮して」とのこと。
(訂正)「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」の一部訂正のお知らせ
…さらに、公開買付者は、2025 年10 月1日付で、公開買付代理人である三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社及び本公開買付けの復代理人である三菱 UFJ e スマート証券株式会社からの報告により、応募株券等の総数(2025 年 10 月1日時点。KeePer 技研が所有する当社株式を除きます。)は 6,598,149 株であり、本応募契約(KeePer 技研)に基づき、当社の取締役会による本公開買付けに対する賛同意見表明決議が維持されていることを条件に本公開買付けへの応募が合意されている KeePer 技研が所有する当社株式の全てである 2,687,700 株を合算すると、引き続き本公開買付けにおける買付予定数の下限(7,566,400 株)を上回っていることを確認しているとのことです訂正部分に最新のデータが示されています。「買付予定数の下限(7,566,400 株)」であるのに対して,一昨日の10月1日時点では, KeePer 技研保有分を除いて6,598,149 株とのこと。KeePer 技研が応募契約に基づいて応募してくれなければ,TOBは不成立になるわけで,やはりKeePer 技研の保有株が勝負を分ける状況にあるようです
ソフト99としては,KeePer 技研に対して応募契約を遵守することを強く求めてTOB成立を目指すこともできます。が,事情が事情なので契約を盾にとってゴリ押しすれば,ソフト99自身の評価を下げることになりかねません。
KeePer 技研の経営陣の苦しい立場を理解する姿勢を示す必要がありますが,さて,どういう対応がとれるでしょうか。頭の体操をしてみましょう
最も簡単な対応はTOB価格を引き上げることですが,エフィッシモとの価格差があまりに大きく,一定程度ではあっても,そこに歩み寄るとなると買収コストが上がり過ぎるのではないかと。実際に会社側も「なお、2025 年 10 月2日現在、公開買付者において、本公開買付価格の変更はない」との立場を崩していません(とはいえ誠意を示す,という程度にはTOB価格の引き上げはあるかもしれない🤔)。
もう1つは…いま思い付いたことですが,KeePer 技研の保有株の扱いを先送りにする方法はないのかな。KeePer 技研の応募がないと,今回のTOBの下限をクリアーできないけど,下限を引き下げる変更は不利益変更に当たらないので,可能ですよね(たしか,コロワイドが大戸屋買収の際に使った手ではないかと)。とりあえず,TOBは成立させることができます。
TOBの後にスクイーズアウトを実施しますが,KeePer 技研保有分を1株とする株式併合にすれば,KeePer 技研がソフト99の株主として存続することになります。しかるべき後に,それなりの対価で保有株を引き取るという寸法。これは,国の保有株の引き取りを公的資金の返済と絡める必要のあった,新生銀行タイプの処理といえそうです。
しかし,この方法は幾つか難点があります。最も大きいのは,かりにMBO側が下限を引き下げればエフィッシモも同じように下限を撤廃する等してTOBを成立させる可能性があります。そうなると,エフィッシモの保有株が大きいためスクイーズアウトで追い出すことが不可能になります。加えて,より低いTOB価格のMBO側が,TOBを成立させるために下限を引き下げるのは,株主に不本意ながら劣位のTOBに応じざるを得なくするという,「強圧性」の批判を免れないかと。この批判には反論できないんじゃないかな。また,新生銀行のスキームでも指摘されたTOB条件の実質的不均衡という批判があるかもしれません。
3つ目として,同じく下限を引き下げてTOBを成立させ,KeePer 技研には株式買取請求権を行使させて高値で買い取ってあげるという方法もありそうですが…KeePer 技研が買取請求権を行使するには,株式併合議案で反対する必要があり,下手すればスクイーズアウトが不成立になってしまいます。それにこの方法でもエフィッシモの扱いに難渋します。
残念ながら私に妙案は思いつきません('◇')ゞ
これから,ソフト99とKeePer 技研との間でいろいろと交渉が行われることになるのでしょう。どういう落としどころになるのか,注目です
