ダルトンによる保身批判😑 ~一般論はともかくアンタがいうなという話

日経:米ダルトン、あすか製薬や文化シヤッターを非難 「経営者の保身」
アクティビスト(物言う株主)として知られる米ダルトン・インベストメンツは同社が株式を保有するあすか製薬ホールディングス(HD)と文化シヤッターの買収防衛策を非難する書簡を公表する。ダルトンは両社の株式をそれぞれ20%前後保有する大株主で、買収を懸念した会社側が買収防衛策の発動を示唆していた
 あすか製薬に文化シャッターと,このところ立て続けにMBO誘導に行き詰まっているダルトンが両社を批判する書簡を公表するそうです。20%近くの株式を高値で買ったまま,エグジットに失敗すると運用担当者の責任が問われかねないので焦りがあるのかも

 買収防衛策が「自由市場における株式取引の自由を奪う」という主張は,一般論としてはたしかにそうなのでしょう。政策保有株主に守られて,資本コストや株価を意識しない経営を長年続けてきたような会社は,経営陣を入れ替えるか,相当な対価を支払って証券市場から退出した方がよいはず。そのプロセスを害する防衛策は,原則として経営者の保身として否定されるべきでしょう。

 アクティビストらが非効率経営の会社株式を取得して経営陣にショックを与え,経営改革やMBOの切っ掛けを与える限り彼らの活動は評価されるべきでしょう(個人的にはオアシスはフジッテック事件以後,その活動において世間の納得感を得ることに注力しておりダルトンと対照的だと感じます)。
 しかし,自己利益のために有無をいわさずMBOを強要するのはちょっと違う。敢えていうなら「濫用的株主」…いやちょっとコトバがキツ過ぎるので準濫用的株主というべきかと(キツい表現が全然緩んでいない?…('◇')ゞ)

 ニッポン放送事件の東京高裁決定では,濫用的株主に対抗する新株(予約権)発行等の防衛策が理論的には許容されました。が,当時はその理屈を適用するには難点があると指摘されたのもたしか(事実ライブドアによるニッポン放送の新株予約権発行差し止め仮処分は認められました)。つまり,裁判において会社側が,相手方が濫用的な株主であることを疎明するのは簡単ではないからです

 ところが,アクティビストの活動がこれだけ長くなると,個々のアクティビストについて過去の行動履歴が残ります。あすか製薬でも文化シャッターでも最後に別紙として「ダルトンらによる過去の投資活動」が添付されていますよね(もちろんダルトンとしてはこの纏め方に反論はあるでしょうが)。つまり,ダルトンさんは過去において自分たちの利益のために,対象会社の企業価値や株主共同の利益を害する,数々の行動や発言をしてきましたよねということ。あすか製薬や文化シャッターの対応方針は,そのような(準?)濫用的株主であるダルトンがこれ以上自社の株式を取得するのは認められない,かりに今回は違うというなら説明せよ,ということかと。
日経:あすか製薬、ダルトンに回答を再要請 「AIで調べて」との返信に
 それにもかかわらず,あすか製薬側からの質問に対して,知りたければインターネットで探せ,と開き直るのは,ほぼ自滅するようなものではないかと。かりに意思確認総会が開催されても,誰もダルトンの味方をしてくれないでしょう。なんとなくこの勝負の結果が見えてきたような気がします