フジメディアHDの対応は正しい😑 ~ダルトンの再三の株主提案変更は評価を下げるだけ

日経:フジHD、米ファンド提案の変更を拒否
フジ・メディア・ホールディングス(HD)は21日、関連企業も含めて7%の株を持つ米投資会社のダルトン・インベストメンツからの株主提案の変更を受け入れないと発表した。ダルトン側は取締役候補者のうち3名を「監査等委員」にしたいと要望した。ただ会社側はこれを「新たな株主提案に該当する」とし、提案の期限を過ぎていると判断した
 フジメディアHD株主総会で株主提案権を行使していたダルトンが,提案内容を変更しようとして拒否されたとか。先日,フジ側がダルトンの提案に対して,かりにフジの候補ではなくダルトン側候補がすべて選任されたら,監査等委員のいない取締役会になり不適法となると批判されたことを踏まえての変更提案なのかもしれません。しかし,今になって変更といっても…フジ側のリリースを見てみましょう

株主提案に関する提案期限経過後の追加書面受領について
当社は、当社株主である NIPPON ACTIVE VALUE FUND より(以下「提案株主」といいます。)から、2025 年4 月16 日付で取締役選任に関する株主提案書(以下「本株主提案書」といいます。)を受領し、同月23 日付にて「候補者の差替え」、5 月8 日付にて本株主提案書の補足説明(本株主提案書に記載した取締役候補者については、全員「監査等委員でない取締役」候補者である旨の説明)の書面の提出がありました…当社といたしましては、提案株主の株主提案については、当初より、認定放送持株会社の認定取消事由となる日本国籍を持たないと思われる方を候補者としたり、法的に区別が求められる監査等委員である取締役とそうでない取締役を分けていないなどの不備が見られた中で、株主権を最大限尊重する観点から、これら不備を指摘し明確化を求めたり、提案株主の意図を真摯に汲み取るなど、丁寧な対応に努めてまいりました
 4月16日に株主提案を出したかと思ったら,23日に放送法上認められていない外国人取締役候補を差し替えたいといってきたので対応してあげた,5月8日には監査等委員候補とそれ以外の候補との区分の不備を問い合わせて対応してやった
しかしながら、今般改めて、提案株主より、「株主提案による監査等委員でない取締役候補者のうち3 名を監査等委員である取締役候補者にしたい」との申出があり、その旨の追加書面を受領しました。これは、新たな株主提案および既存株主提案の一部取り下げに該当することとなると言わざるを得ません。6 月25 日に開催される当社定時株主総会の株主提案の行使期限である4 月30 日(会社法303 条2 項後段、305 条 1 項)を徒過してなされた株主提案は不適法であるため、当社として新たな提案は法的に取り上げることができないものとして扱うとともに、あわせて既存提案の一部取り下げにも応じないこととしましたので、お知らせいたします
 それにも拘わらず,今回さらに,3名の候補はやっぱり監査等委員候補にしたいと言い出す始末。これはさすがに対応できまへん こんなところでしょうか。もちろん,怒ったから対応しない,ということではなく法律上当然の対応をしたというべきでしょう。

 細かな話になりますが,株主提案権(議案要領通知請求権)は株主総会の8週間前までに行使しなきゃならないので,デッドラインは4月30日。4月23日の候補差し替えは期限内なので対応できます。
 5月8日の訂正は監査等委員候補とそれ以外の区別はしていないものの,候補者は提案しており,内訳を明示していないだけなので,確認したうえで議案に載せる程度ならかろうじてOKということなんでしょう。
 ところが,監査等委員候補以外としていた者を監査等委員に変更するのは,会社法が双方の候補を別の議題・議案として決議するよう求めている趣旨からすると(会社法329条2項),「法的には、新たな株主提案および既存株主提案の一部取り下げに該当することとなると言わざるを得ません」。つまり,以下のように整理できます。
〇監査等委員以外の候補12名➡「監査等委員以外候補9名+3候補撤回」+「新たに監査等委員候補3名提案」
6 月 25 日に開催される当社定時株主総会の株主提案の行使期限である 4 月 30 日(会社法 303 条 2 項後段、305 条1 項)を徒過してなされた株主提案は不適法であるため、当社として新たな提案は法的に取り上げることができないものとして扱うとともに、あわせて既存提案の一部取り下げにも応じないことといたしました。
 候補の撤回まではいいとしても(実際総会当日までに候補が撤回されることは時々あります),監査等委員の新提案は新たな株主提案権行使なので期限を過ぎているから不可ということです。
 一応の考え方としては,ダルトンの訂正の結果として株主提案として有効なのは監査等委員以外の候補9名のみと扱うこともできそうです。しかし,ダルトンの意図としては3名の変更が認められないなら,従来通りの12名の候補者提案で運用してほしい,ということでしょうから,「あわせて既存提案の一部取り下げにも応じないことといたしました」。そこまでイジワルはしないということなんでしょう(^-^)
 それにしても,ダルトンは今回のグダグダの対応で評価を大きく下げてしまいました。将来的に非公開化提案を考えているなら,役員候補の扱いでそんなに拘る必要はなかったように思うのですけどね