ロームの転換社債について授業で説明できるだろうか?

日経:ローム 日本株買い促す資本効率向上 市場が評価
「私の運用人生で最高のCBだった」。ある日本株ヘッジファンドの運用者は11月にロームが打ち出した資金調達策を高く評価する。CBとは一定の条件で株式に転換する権利を付けた社債のこと。ロームは400億円をCBで調達する一方、500億円の自社株買いを実施する。負債を増やす半面で自己資本を圧縮して資本効率を高める。ロームは収益力が高いが、自己資本比率が9割近くで現預金は2600億円を超える。2019年3月期の自己資本利益率(ROE)は6%にとどまっていた
昨日の宿題のロームの転換社債(=「転換社債型新株予約権付社債」が会社法上は正確だけど長いので省略)です。
 リキャップCBというのは,ここ数年流行りの資本を負債に代える手段の1つです。記事の図にあるとおり転換社債で資金調達しつつ,自己株取得をすることで資本を負債に置き換えることができるわけ。一昔前は,無借金経営が一番と考える経営者がおりましたが,資本と負債の最適なバランスこそが重要だというのは今日では常識です(が,この考えは商法学者で共有されているのだろうか?)。ロームは自己資本が多すぎてROEも低位に留まっている,しかも,いまはマイナス金利で借り入れが可能なので,リキャップCBを発行しない手はないということらしいです。
 ただ,具体的な発行条件を見て,発行体と投資家のメリットを理解しないと納得できないタチなので,オリジナルを見てみましょう。
ローム:2024 年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ
社債の払込金額:券面額の102.5%
社債の発行価額:券面額の105%
払込金額と発行価額の差額は引受証券会社の手数料になるのでしょう。2.5%の手数料は悪くないですね。他方で残りの2.5%がマイナス金利ということになりそうですが,新株予約権の対価もあるのですべてがマイナス金利分というわけではないはず(でも転換価格がとっても高いのでオプション部分の価値はそれほど高くないかも)。
企業側に有利な条件だが、投資家の評価を集めたのは株式への転換条件だ。CBが株に変われば1株あたりの価値が薄まりかねないが、今回はCBを株に転換できる株価設定は1万3593円と11月19日終値から54.99%高い。リーマン・ショック後で最高水準だという
記事にあるように,転換条件=新株予約権の行使価額が1万3593円というのはロームのここ数年の株価を見てもかなり高い。この高い株価で社債が株式に転換される可能性は低そうですが,かりに転換されて少々希釈化されても会社の株価が高くなっているのだから,株主に不満はないでしょう。なによりも,額面での取得条項を付けているなど転換を制限する仕組みを組み入れているので,発行後も会社が資本負債比率をコントロールすることは可能ですね。
 よく考えられたCBだということが(なんとなく)分かりました。ただ,授業でうまく説明できるほどかというと…
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