新聞の企業不祥事報道と株価下落 ~ 日産とオリンパスを比べてみる

 企業不祥事が問題となっている2つの企業があります。連日メディアで報道されている日産と全然報じられないオリンパスです。コレでもか!とゴーン氏の不祥事が報じられているにも拘らず,日産の株価はさほど下落しておりません。
日経:経営者リスクで株下落も ゴーン元会長退場の余波
日産自動車の株価はカルロス・ゴーン元会長が金融商品取引法違反容疑で逮捕されたにもかかわらず、逮捕前に比べて3%安と底堅い。
これに対してオリンパスは社内弁護士さんの記者会見を契機に右肩下がりで約10%(!)下落しております。記事の指摘で面白いのは,日産はそもそもESGで高い評価を得ていなかったので売りが出なかったというもの。
もし日産のESG評価が高かったとすれば、ESG投資に取り組んでいる世界の機関投資家が大量に株式を保有しており、トップ逮捕の報に接して手放す動きが相次いでいたかもしれない。しかし、実際にはあまり持っていなかった。指数算出会社の米MSCIは9月に日産のESG格付けを最低の「CCC」に引き下げていた。株式の持ち合いや取締役会の独立性などガバナンス上の問題が多かったためだ。
ESG投資のパラドックスとでも申しましょうか
 もう1つ私が興味深く感じますのは,投資家は投資情報として重要な情報で投資判断をしている,という当たり前のこと。メディアがどう情報を伝えているかはあまり重要ではないということです。ゴーン氏が報酬を10億もらっていようが30億もらっていようが,その違いで企業価値の評価が変わるわけでない。市場が注目しているのは,ルノーとの関係がどうなるのかであって,こちらの評価はなかなか難しい。不確定要素が増えることはネガティブでしょうが,これまでの両社の関係が日産に利益だったとは必ずしもいえないので,資本関係に変化があれば,あるいは日産には利益になるかもしれない。だから株価は若干下落にとどまっているのかと(記事にあるように6%と配当利回りがよいのも影響しているのでしょう)。
 さらに既存メディアが伝えているか否かも重要ではないようです。オリンパスの方は国内メディアはほとんど報じなくても,報道された海外の投資家には明らかに売り材料だったようです。国内の投資家も新聞等が報じなくてもネットなどで投資先の情報はちゃんとチェックしていたのでしょう。もちろん,両社の株価の動きを分けたものが,それだけだとは申しませんが,新聞紙面に現れる情報だけで投資判断ができないのもたしかかと
【追記】
FACTAさんが次の記事をフリーアクセスにされたのでどうぞ
弁護士(オリンパス法務部渉外グループ主任)榊原 拓紀 氏